「クロス王の勅令   エズラ記 1章1〜11


 紀元前586年に、南ユダ国はバビロン帝国によって滅ぼされ、民の多くがバビロンに捕囚されました。エレミヤの預言によって、捕囚は70年後(諸説あり)に終わり、イスラエルは回復すると約束されていました(エレミヤ25:11)。

 ペルシャ帝国(アケメネス朝ペルシャ)は、クロス王の時代に、メディア王国とリディア王国を攻略し、東方でも諸民族を統合し、これまでの一大勢力であったバビロン(バビロニヤ帝国)を前539年に倒します。


<1節>

 ペルシャ王クロス(キュロス2世)の第1年(前538年)に、王は国中に勅令を出します。それはまさに、「エレミヤによって告げられた主のことばの実現」でした(エレミヤ29:10)。すなわち、イスラエルの民をバビロンから解放して帰還させるという主の約束です。


<2〜4節>

 クロス王は、民族の強制移住による反乱を防止し、捕囚の身となっていた諸民族を帰国させました。彼は天の神がすべての王国を自分に与え、破壊されたエルサレムの宮(神殿)を建て直すようゆだねられたと告白します。  

 そして、そのために周囲の者たちも協力するように命じます。神が、ペルシャの王クロスを通して捕囚の民を帰らせ、しかもエルサレム神殿の再建というビジョンまで与えてくださったのです。


<5〜6節>

 イスラエルの族長や祭司たちは、神にその霊を奮い立たされ、神殿再建のために立ち上がりました。周囲の者たちもまた、自主的なささげ物によって、彼らを力づけました。ささげ物は、どこまでも自主的なものです(Uコリント9:6〜11)。


<7〜11節>

 クロス王は、バビロンの王ネブカデネザルがエルサレムからバビロンに持って来た神殿用具を運び出させます。そしてそれらを、ユダの君主シェシュバツァルがエルサレムに携え上りました。


(まとめ)

 @ 主の約束は必ず実現する

 エレミヤを通して主が約束された通り、バビロンに捕囚されていた民たちはエルサレムに帰還しました。

 主は、生ける神から逸れて見える偶像に傾いたイスラエルを建て直すために、バビロン捕囚という苦しみを通らせました。しかし、主のご計画は変わりませんでした。しばらくの時を経て、主は約束通りイスラエルを回復されました。


 A 神はどのような人にも触れられる

 主は、異国の王であるクロス王にも触れて、イスラエルを回復してエルサレムの神殿再建を実現されました。

 神は、私たちの周りにいるクリスチャンではない人々にも触れて、彼らを通して私たちに語りかけ、私たちの信仰復興のためにお用いになるのです。関わる人々すべてが、私たちの信仰のために用いられる可能性があるのです。


 B 主のご計画のために心を一つにする

 クロス王の勅令により、人々はエルサレム神殿再建に向かって喜んでささげ物をし、力を合わせました。主のビジョンを成し遂げるためには、皆が心を合わせて一つになる必要があります。

 そこで私たちを一つにするのは、祈りです。教会が新しく主のご計画に向かって動き出していく時に、いつにも増して心を合わせる祈りが求められます(ピリピ2:1〜4)。


 教会が前進しようとする時に、考え方や感じ方の違いが出てきます。その時に、皆が自己主張をしていたら、バラバラになります。互いに自己中心や虚栄を捨てなければ、一つにはなれません。

 けれども人間の力では、一つにはなれないのです。100人いれば、100様です。無理矢理一つにしようとすると、弱い人が消されて強い人ばかりの集団になっていきます。強い人ばかりがいる教会は狂暴化します(Tコリント12:23〜27)。

 ですからこそ、心を合わせて祈りましょう。 無理矢理思いを変えるのではなく、主が一つにしてくださることを待ち望んで祈り続けましょう。                                    

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