「神の知恵と広い心」     列王記4章


ソロモンがイスラエルの王となるまでに、反乱やダビデ時代の問題解決に追われましたが、一つ一つ解決され、ソロモン政権が誕生します。ソロモン政権では、既成の体制に加えて新しい行政官職も取り入れられ、ダビデ時代からのベテランの人物と新しい者たちが融合して実際の働きを共にしながら、継承が為されていきます。

2〜7節
2節の「祭司」は大祭司のことで、4節の祭司は、一般の祭司の中でも重要な役割を果たす人たちです。
「書記」は、通信管理、金庫番や支払い事務(U列王記12:10)、徴兵する将軍の書記(U列王記25:19)などをしていました。
「参議」は、王国の記録管理者で、列王記の王たちの業績の資料などもそろえたと言われています。
「軍団長」は、側近の役割も果たしていました。
「政務長官」は、工事の監督を主にしました。
「宮内長官」は、宮廷に関する内政一般の責任者。
「役務長官」は、国土開発や建築に必要な労働者を強制徴募する者。
「守護」は、12に分割された各行政区の長です。王宮への納税を担当しました。

8〜19節
行政で、具体的に地区ごとに大切な働きをした12人の「守護」たちの名前が記されています(フルの子、デケルの子、へセデの子、アビナダブの子、アヒルデの子バアナ、ゲベルの子、アヒナダブ、アヒマアツ、フシャイの子バアナ、パルアハの子ヨシャパテ、エラの子シムイ、ウリの子ゲベル)。

20節
神がアブラハムに約束されたように(創世記22:17)、アブラハムの子孫は非常に多くなりました。また物質的にも豊かにされ、経済的にも安定していました(「ユダとイスラエル」とあるように、やがてこの二つの王国に分裂していきます。決してこの繁栄がずっと続くわけではないことも暗示しています)。

21〜27節
広大な土地をソロモンは治め、ダビデ時代とは違って、近隣諸国とも平和な関係が築かれています。また王宮の食料も豊かでした。ソロモンは国益ばかりに心奪われず、民衆の暮らしにも心を注いだため、国全体が安定します。戦いの武器も備えられています。12の地区に配置された守護たちが、しっかり自分たちの託された地区を治めています。

29〜34節
ソロモン時代の繁栄は、どこまでも神によるものでした。そのことがしっかり記録されています。誰の目にも、神がこのような知恵をソロモンに与えられたことを認め、またソロモン自身も、ことあるごとに人々にそのことを伝えていたのでしょう。
「豊かな知恵」だけでなく、神はソロモンに「広い心」を与えられました。恐らく知恵だけでは、このような平和な国にはならなかったでしょう。神が与えた「広い心」、寛容政策が至る所に反映されていたのでしょう。どこまでを寛容に対応するかの範囲も、知恵として与えられていたことでしょう。
ソロモンは、多くの箴言や歌を作り、その中には植物や動物に関するものもたくさんありました。聖書の箴言、伝道者の書、雅歌などにも、ソロモンの歌が記されています。
ソロモンの知恵は、周辺諸国の人々の噂となり、東方の博士や知恵あるエジプト人、当時の有名な知者たちをも凌ぐものとなりました。それはどこまでも、ソロモンが自分の富、長寿、敵のいのちを求めず、国を治めるための知恵を神に願い求め、そのことを神が喜んでくださったからです(3:7〜14)。

神はソロモンが祈り求めた通りに、国を治めるための知恵を与えてくださり、それに加えてソロモンが求めなかった富と誉れ、また「広い心」をも与えてくださいました。知恵だけで上から押さえつけるような政策ではなく、広い心によって弱者をも受け入れていく政策が新しいソロモン政権の政策には盛り込まれていたのでしょう。そのことが、イスラエルに一時的ではありますが、平和をもたらしていきました。
私たちの国のリーダーたちにも、そのような知恵と広い心が与えられ、国の隅々にいたるまで平和が及ぶように祈ると共に、私たちの教会にも、神の知恵と神から与えられる広い心が隅々にまで反映されて、人々から主の御名が崇められますよう祈っていきましょう。


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