「危機的状況に介入してくださる主」  列王記第2 7章

<1~2節>

 食料飢饉に加えて、アラム軍に首都サマリヤが包囲され、イスラエルの食糧不足はさらに深刻になりました。あまりにも悲惨な状況下で、イスラエルの王は預言者エリシャにその責任を転嫁して、彼を殺すために使者を送りました。

 エリシャはその使者に、主のことばを伝えます。それは、「今食糧不足のために、食用でない物まで高値で売られているにもかかわらず(6:25)、明日の今ごろには上等な小麦粉が驚くほど安値で売られるようになる」という内容でした。

 しかし、王から遣わされた侍従はそのことばを信じなかったため、「確かに、あなたは自分の目でそれを見るが、それを食べることはできない」とエリシャに言われます。


<3~9節>

 4人のツァラート(重い皮膚病)の人が、イスラエルで食料を調達することは不可能と判断して、敵であるアラムの陣営に向かいます。すると、そこには誰もいないばかりか、食料や持ち物もそのまま置き去りにされていました。

 それは、「主がアラムの陣営に、戦車の響き、馬のいななき、大軍勢の騒ぎを聞かせられた」ため、イスラエルの王が、ヘテ人の王たち、エジプトの王たちと組んで、アラムを襲ってきたと思ったからでした。  

 ツァラートの4人は、最初は自分たちだけでアラムが置き去りにした食べ物や持ち物を所持していましたが、自分たちだけがいい思いをしていることはよくないと思い、イスラエルの王に、この状況を伝えに行きます。


<10~15節>

 4人から報告を聞いたイスラエルの王は、最初はアラム側の罠だと疑います。しかし家来の提案もあり、偵察するためスパイを送り込み、そしてツァラートの4人の報告通りであることが判明します。


<16~20節>

 そこでイスラエルの民たちは、アラム陣営に置き去りにされた物を手に入れます。すると、1夜で食料不足の状況から豊かになり、エリシャを通して主が語られた通り、上等の小麦粉が安価で売られるようになりました。

 そして主のことばを信じなかった王の侍従は、その事実を目の当たりにしながら、分配品を受け取るためになだれ込んだ人々に踏みつけられて死にました。それもエリシャを通して主が語られた通りであったことが、繰り返し強調されています。


まとめ

• 神はご自身の民の危機的状況に介入してくださいます(1、6節)

 イスラエルの大変な食料危機の中で、神が介入してくださり、敵陣に大軍が攻撃してくる音を聞かせて、アラムが持ち物を持たずに退散するようにしてくださいました。人の力ではどうすることもできない状況で、神が介入して助けてくださるのです。

 解決のため、すべきことはして、あとは神の働きを待つしかどうすることもできないことがあります。でもその時こそ、神の奇跡を体験する時なのです。


• 神は小さく弱い者をも大切な役割に用いられます(3~15節)

 このイスラエルの危機を救うために用いられたのは、ツァラートの4人でした。当時汚れた者として、町の外で生活することを余儀なくされていた人たちです。彼らがアラムの陣営の状況をイスラエルに知らせたことで、悲惨な食料危機からイスラエルは助け出されたのです。

 神はご自身の民を助けるため、そして神の栄光と偉大さを現すために、あえてこの世では取るに足りないとされている者たちをもお用いになるのです(Ⅰコリント1:27~29)。


• 神のことばは必ず実現します(1~2、16~20)

 預言者エリシャを通して神が言われた通り、ろばの頭や鳩の糞という本来食糧ではない物が高値で売られていた状態から、1日で上等の小麦粉が安価で売られるようになりました。国の経済状況が、1夜にして好転したのです。

 エリシャから聞いた神のことばを疑い侮った侍従は、やはり主のことば通り、その事実を横目にしながらその恵みを味わうことなく死にました。

 人の目に良いと思えることも悪いと思えることも、主がおっしゃった通りになるのです。みことばを、そのような事実の伴うものと信じて読みましょう。


 主がアラムの陣営に、戦車の響き、馬のいななき、大軍勢の騒ぎを聞かせられたので、 彼らは口々に、「あれ。イスラエルの王が、ヘテ人の王たち、エジプトの王たちを雇って、 われわれを襲うのだ」と言って、夕暮れになると、彼らは立って逃げ、彼らの天幕や馬や ろば、すなわち、陣営をそのまま置き去りにして、いのちからがら逃げ去ったのであった。                                 Ⅱ列王記7章6、7節

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